今月はクリック単価が安い…
あんなに先月は高かったのに…
広告収入を得ているサイト運営者は、一度は思ったことがあるでしょう。
クリック単価は季節や時期によって変動します。
なぜでしょうか?
要因は大きく分けて2つあります。
「広告主のお財布事情」
「季節による業界トレンド」
ほぉ…
何となく分かるけど、詳しく教えて!
そんなサイト運営者に向けて、
広告業界で勤務している筆者が、クリック単価が変動する理由や、月別のトレンドについて解説します。
※あくまで一般論をお伝えするので、効果を保証するものではございません。
・サイトで広告収入を得ている運営者
・Googleアドセンスを導入している
・クリック単価について詳しく知りたい
【クリック単価】季節や時期による変動は?
そもそも、クリック課金の広告の値段は、基本的に以下の計算式で決まります。
・入札単価…広告主が設定するクリック単価の上限額
・品質スコア…様々な要素から判断される指数
・広告ランク…クリック単価を決める指数
つまり、広告主が「入札単価」を上げればクリック単価が上がります。
50円にするのも、100円にするのも、入札単価の設定次第ということですね。
じゃあ入札単価って、どういう理由で変更するのさ!
と、気になりなるところです。
細かい理由は書ききれないほど沢山あるのですが、まとめると以下です。
②配信されるユーザー
③広告主のお財布事情
④季節による業界トレンド
①②に関しては、配信サイド側の事情になるので、サイト運営者側では特にできることはありません。
本記事では、「③広告主のお財布事情」「④季節による業界トレンド」に焦点をあてて詳細を記載していきます。
配信ユーザーによる違いや、クリック単価の詳細な仕組みについては、以下の記事でまとめています。
【クリック単価】広告主のお財布事情
そもそも企業は何を目的に広告を出稿するのでしょうか?
主な目的は、商品やサービスの認知向上や利用促進、および会社としての売上拡大です。
つまり、広告を配信すれば、会社の売上が上がる(はず)です。
そして、ここが大切な要素!
大多数の企業には「決算」があります。
「決算」とは、おもに四半期の収入・支出および利益・損失を算出し、報告するものです。
上場企業は、各社のホームページに細かい決算資料が載っています。
企業は決算報告をうまく見せるために、広告費が変動し、クリック単価が向上することがあります。
決算を意識した「売上」
決算を行う上で重要なのは、継続的に事業成長をしているかどうか。
例えば、こんな状態のとき、あなたが広告主ならどうするでしょうか?
・2019年7月~9月の売上目標:11億円
2019年9月10日の時点で、売上着地の予測が10億円
目標売上まで1億円足らない…
このままでは決算上、成長していないと株主に怒られる…
世間的にも成長していない会社だと思われてしまう…
よし!
少し広告費を強めに投下して、売上を無理やり上げにいこう!!
と、なるケースがあります。
クリック課金型の広告の場合、入札単価を上げるほど広告が掲載される可能性が高くなります。
つまり、少し無茶をして広告を投下すると、必然的にクリック単価が上がります。
決算上の売上目標を達成する為に、広告費を急遽投下し、月末にかけてクリック単価が上がるという現象が発生します。
決算を意識した「利益調整」
売上を達成するために広告を出稿するという一方、利益調整という考え方もあります。
先ほどの売上目標とは別に、企業は利益目標も追いかけています。
※「利益」…「収益(売上)」から「費用(支出)」を引いたもの
決算を行う上で重要なのは、「継続的に」事業成長をしているかどうか。
「継続的に」というのがポイントです。
例えば、こんな状態のとき、あなたが広告主ならどうするでしょうか?
・2019年7月~9月の利益目標:1.1億円
2019年9月10日の時点で、利益着地の予測が1.4億円
めちゃくちゃ達成する!!
喜ぶと同時に、
このペースでの利益成長を求められると、ツライ!!
と、なります。
例えば、どちらが世間体の見え方がいいでしょうか?
②1.0億円、1.4億円、1.2億円、1.3億円…と利益報告している会社
①の会社は継続的な事業成長をしていると見えます。
②の会社は1.2億円や、1.3億円の報告をする際に、事業が停滞している状態と判断されやすくなります。
ここで出てくるのが「利益調整」です。
先ほどの例でいうと、目標1.1億円に対して1.4億円の見込みなので、0.3億円は余分です。
0.3億円を広告費の支出として、月末に出稿するケースがあります。
広告とはサイト運営者からみたら「利益」ですが、広告主からしたら「支出」です。
広告費をかけすぎると利益を圧迫してしまいます。
売上目標や利益目標を追いかける広告主の達成状況によって、広告費およびクリック単価は大きく変動します。
会社として利益を上げるだけ上げればいい、という話でもないのが、難しいところですね。
【クリック単価】広告主のお財布事情|まとめ
これまでをまとめると、以下です。
・四半期が始まる月(1,4,7,10月)はクリック単価が”下がる”傾向
※一般論なので、その限りではありません
【クリック単価】季節による業界トレンド
企業のお財布事情とは別に、業種によってクリック単価が上がる季節は異なります。
理由は、ユーザーの需要の高さとクリック単価の高さに、相関性があるためです。
例えば、“引越し業者”の需要が高まるシーズンはいつでしょうか?
新生活が始まる3月頃が最も多いでしょう。
次点で9-10月頃でしょうか。
一方、“電子コミック”の需要が高まるシーズンはいつでしょうか?
暇つぶしをしたいゴールデンウィークや、お盆といった大型連休が当てはまるでしょう。
また、平日よりも土日の方が確実に需要は高いです。
このように、業種(サービス)によってユーザーの需要が高まる時期は異なります。
需要が高まれば広告費をかけるし、需要が低い時期は広告費を抑えます。
広告を多く投下するには入札単価を上げる必要があるので、必然的にクリック単価が上がります。
つまり、クリック単価の傾向を知りたい場合は、各サービスの需要が高まる時期を意識することです。
ビールって冬よりも夏の方が需要が高いよなぁ…という一般論でいいのです。
自分のサイトに掲載されている広告と、ユーザー需要のバランスを考えてみてください。
【クリック単価】月別の傾向まとめ
では、これまでの内容を踏まえて、ざっくりと月別の傾向を書いていきます。
クリック単価|1月
クリック単価は安くなる傾向。
年始の1月1日~6,7日までは、特に安い傾向があります。
しかし、電子コミックやVODなど、大型連休に利用されるサービスの需要は高いでしょう。
クリック単価|2月
クリック単価は徐々に高くなる傾向。
1-3月が年度決算の会社が多く、2月から広告費の投下が強化される企業も多いため。
クリック単価|3月
1年間で最もクリック単価が高くなる傾向。
年度決算の最後となり、3月中旬~下旬においてクリック単価が大幅に上がるケースも。
クリック単価|4月
クリック単価は安くなる傾向。
年度の初めとなる会社が多く、特にクリック単価が安くなると見込まれます。
クリック単価|5月
クリック単価は安くなる傾向。
ゴールデンウィークは企業も休みに入るので、特にクリック単価は安くなります。
一方、年末年始と同様に、大型連休に利用されるサービスの需要は高いでしょう。
クリック単価|6月
クリック単価は高くなる傾向。
決算月のため、6月中旬~下旬にかけてクリック単価が上がるケースも。
梅雨の季節なので、雨の日に需要が高まるサービスが狙い目。
クリック単価|7月
クリック単価は安くなる傾向。
四半期の初めなので、特に月初の2週間ほどは安い傾向になります。
夏の始まりなので、気温によって需要が変化するサービスには要注意ですね。
クリック単価|8月
クリック単価は比較的に安くなる傾向。
お盆時期は企業もお休みになることが多いので、広告を停めることもあります。
一方、年末年始と同様に、大型連休に利用されるサービスの需要は高いでしょう。
クリック単価|9月
クリック単価は高くなる傾向。
9月を年度決算の最後にしている企業も多いため、3月の次にクリック単価が高くなります。
特に月末にかけて上昇していく傾向にあります。
クリック単価|10月
クリック単価は安くなる傾向。
9月からの反動で下がる傾向にあります。
とはいえ、年内最後の四半期なので、4月や7月よりは少し高い傾向です。
クリック単価|11月
クリック単価は平均的な傾向。
特筆して下落する業種も、上昇する業種も少ない期間になります。
クリック単価|12月
クリック単価は月初~中旬までは高く、年末にかけて安くなる傾向。
年末は企業もお休みなので、広告費を抑えクリック単価は安くなります。
一方、その分の予算を月初~中旬に回すケースもあるので、月内で動きが異なります。
【クリック単価】季節や時期による変動は?|まとめ
・ユーザーの需要が高まると広告費が向上し、クリック単価も向上する傾向
・業界によって需要の高まる季節や時期は異なる
広告費のお金の動き方や、業界トレンドについてまとめてみました。
最初にもお伝えしましたが、あくまで業界における一般論のお話になります。
絶対ではありませんので、ご了承下さい。
業界のトレンドを意識して広告効果が最大になるよう、広告業界を盛り上げていきましょう!
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